インフルエンザ予防接種は受けるべきか?
インフルエンザとは?
インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することにより発症する感染症です。主な症状として、38℃以上の発熱・頭痛・関節痛・筋肉痛・倦怠感等があらわれます。風邪の症状と似ていますが、インフルエンザの方が症状が急激に悪化し、関節痛などの全身症状が表れやすいことが特徴です。誰でも感染する可能性がありますが、高齢者や乳幼児、基礎疾患をお持ちの方は重症化しやすいため、特に感染に気を配る必要があります。
インフルエンザの流行時期
インフルエンザウイルスの感染力は非常に強く、新型コロナウイルスが流行し始めた2020年シーズン以前は、国内では毎年およそ1千万人が感染していました。毎年11月下旬~12月上旬から感染者が増え始め、翌1月~2月にさらに増加して3月ころまで続きます。しかし、コロナ禍以降は人々の感染症予防意識が高まったこともあり、世界的にインフルエンザの流行は見られていませんでした。
2023年インフルエンザの流行
ところが、昨年2022/2023年シーズンは、日本でも3年ぶりにインフルエンザが流行しました。さらに、今年2023/2024年シーズンは流行時期が前倒しされ、9月~10月から感染者が増えています。これは、新型コロナウイルスの感染拡大が始まってからの2シーズンは流行がなく、人々の免疫が低下したことや、アフターコロナにより人々の感染症予防意識が低下したことが影響しているとみられています。今年は昨年以上にインフルエンザが流行しやすい状況であると言えるでしょう。
【用語解説】季節性インフルエンザと新型インフルエンザ
インフルエンザは、ウイルスの性質の違いから、「季節性インフルエンザ」と「新型インフルエンザ」に大別されます。
季節性インフルエンザはその名のとおり、毎年冬ごろになると流行するものです。毎年少しずつ性質が変化しますが、感染する方も多いため、多くの方が免疫を持っています。新型インフルエンザはおよそ10年から40年周期で流行し、直近では2009年に国内で大流行しました。ウイルスの性質が季節性のものとは大きく異なり、ほとんどの方が免疫を持っていないため、ひとたび発生すると全国的に大きく感染が拡がります。本コラムでは季節性インフルエンザについて述べています。
インフルエンザワクチンの効果
感染を防ぐためには、うがい・手洗い・マスクの着用といった「ウイルスを体に入れないための予防」が基本となりますが、併せて行いたい対策がワクチン接種です。インフルエンザウイルスの抗体を体内につくることで、もし感染した場合でも、発症や重症化を抑える効果が認められています。
ワクチンを接種すればウイルスに感染しないと誤解されることがありますが、体内へのウイルス侵入を完全に防ぐことは、たとえワクチンを接種したとしてもできません。ワクチン接種の目的は、もしも感染してしまっても、症状を抑える、または発症させない(結果として、感染していることに気が付かない)ということになります。
なお、ワクチン接種後すぐに体内で抗体ができるわけではなく、予防効果が期待できるようになるまでに2週間ほどかかります。その後、予防効果は5ヶ月程度は持続すると考えられています。流行時期に間に合うよう早めにワクチンを接種することが大切です。
インフルエンザワクチンの副作用
インフルエンザワクチン接種後の副作用(副反応)でよくみられるものは、接種した部位の腫れや痛み、全身の倦怠感や発熱などがあげられます。多くは24時間以内に症状があらわれ、数日で軽快することがほとんどです。また、ごくまれに蕁麻疹、呼吸困難、嘔吐などの重大な副反応(アナフィラキシー)が起こる場合があります。ワクチン接種前には必ず医師による予診がありますので、副作用など気になる点は、接種前に医師に確認しましょう。またワクチン接種後は、体調変化に十分気を配りましょう。
まとめ
季節性インフルエンザは、近年の感染減少の反動から、2023/2024年シーズンは全国的に感染が増加しています。ワクチン接種は発症・重症化予防として有効な手段ですので、積極的に検討しましょう。