「健診」と「検診」よく見る二つの違いは?
健診(健康診断)と検診
皆さんは「けんしん」を受けていますか?
「けんしん」は読み方は一緒でも、意味の異なる「健診」と「検診」の2つの言葉があります。それぞれの違いについて説明します。
健診(健康診断)とは?
健診(健康診断)の目的
健診の目的は、その人が健康かどうか、病気の因子があるかどうか等、総合的な健康状態を調べることです。
代表的な健診
定期健康診断(一般健康診断)
- 会社勤めの方は、1年に1回以上は会社の健康診断を受けていると思います。
定期健康診断は、まさに働く人のための健診で、事業者が労働者に対して1年に1回以上実施することが法令で義務付けられています。また検査内容も法令で定められており、身体計測、血液検査、尿検査、心電図検査、胸部X線検査などが中心となります。健康保険組合によっては法定の検査項目に加えて、より充実した健康診断が受けられるよう取り組んでいます。 その他、事業者に義務付けられている健康診断には他にもいくつかの種類があり、入社時に受ける雇入時健康診断、特定の有害業務に就く方が受ける特定業務従事者の健康診断、海外で仕事をされる方が出国前と帰国後に受ける海外派遣労働者の健康診断 などがあります。
特定健康診査(特定健診、メタボ健診)
- 生活習慣病の予防を目的に、2008年から始まった健診です。
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の対策にもなることから、「メタボ健診」とも呼ばれます。検査内容は身体計測、血液検査、尿検査が中心で、検査の結果により生活習慣病の発症リスクが高いと判断された方には、医師や保健師、管理栄養士による「特定保健指導」が実施されます。 定期健診のように会社に実施義務はなく、健康保険組合などの医療保険者に実施義務があります。対象者は40~74歳の被保険者と被扶養者です。会社勤めの40歳以上の方は「特定健診を受けたことない」と思われる方もいるかもしれませんが、特定健康診査で必要な項目は法定項目に含まれるため、検査をキャンセルするなどしていなければ会社の健診と合わせて特定健診を受けていることになっています。
健診は定期的な健康状態のチェックに役立てることが可能です。折角の機会を逃すことなく健診を受けましょう。
検診とは?
検診の目的
検診の目的は、ある特定の病気にかかっているかどうかを調べることです。
代表的な検診
がんを見つけるための「がん検診」が代表的な検診です。
その他にも歯科検診、骨粗しょう症検診、肝炎ウイルス検診などがあります。がん検診は大きく次の2種類に分かれます。
対策型検診
- 市区町村などが実施している部位別のがん検診です。厚労省が指定している5大がん(胃がん・大腸がん・肺がん・乳がん・子宮頸がん)による死亡率減少を目的に行われています。公的な意味合いが強い検診のため、費用は無料もしくは少額の自己負担で済みますが、受診できる年齢には制限があります。また、公共施策のため科学的に根拠のある方法で実施運用されます。詳しくは、お住まいの自治体の情報を調べてみましょう。
任意型検診
- 医療機関や保険者が独自に運用する検診で、全身を調べる「人間ドック」の他、特定部位の検査に特化した「〇〇ドック」「〇〇検診」といったような検診もあります。 受診年齢などの制限もなく、施設や検査内容を自由に選べますが、費用は原則として全額自己負担となります。含まれている内容はそれぞれの医療機関や保険者によって異なるため、受診する際に必要かどうかを判断する必要があります。 また、自身が加入している健康保険組合によっては費用の補助が受けられる場合があります。詳しくは、ご加入の健康保険組合の情報を調べてみましょう。
まとめ
- 健診は病気の有無を総合的に調べることで、会社や医療保険者が受診を主導する。
- 検診は特定の病気の有無を調べることで、自身の意思で受診する。
- がん検診は自治体が安価に実施している対策型検診と、医療機関・保険者が独自に実施している任意型検診の2種類がある。