初めての大腸カメラ 検査の流れや注意点

皆さんは健康診断で大腸カメラ検査を受けたことはありますか?
定期的に受けているという方もいれば、一度も受けたことがないという方もいると思います。

大腸カメラのイメージとして、「お尻から管を入れるのが痛そう」「なんだか恥ずかしい」「下剤を沢山飲むのが大変そう」といった、ネガティブなイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、まだ大腸カメラを受けたことがない方向けに、大腸カメラを受ける前に知っておいた方がよいことについて説明します。

大腸カメラってどんな検査?

大腸カメラはその名のとおり大腸の様々な疾患を調べる検査で、正式には「下部消化管内視鏡検査」といいます。大腸は小腸と肛門を繋ぐ全長1.5m程度の臓器で、食物の水分を吸収して便をつくり、その便を溜めておく機能があります。

大腸カメラ検査では、先端に小型カメラがついた管を肛門から入れ、大腸の全域を映像で直接観察します。管の太さは現在主流のものでは10mm~13mmと、大人の小指より少し小さいくらいのサイズです。

大腸内部は粘膜に覆われており、その色の変化や凹凸により、ポリープ・炎症・潰瘍・出血などの異常の有無がわかります。

大腸カメラで発見できる病気の一例

  • 腸がん
  • 大腸ポリープ
  • 潰瘍性大腸炎
  • クローン病
  • 大腸憩室症
  • 大腸メラノーシス など

大腸の検査は他にもX線を用いたCT検査、便潜血検査などがあります。その中でも大腸カメラは病変やポリープが見つかった場合にその場で組織を採取し、精密検査でより正確に病気を診断できるというメリットがあります。

大腸カメラの検査の流れ

  1. 医師の診察
    自覚症状がある場合や、健康診断後の精密検査として大腸カメラを受ける場合には、事前に医師の診察を行います。症状の程度や既往歴、服薬状況などを踏まえて、大腸カメラ検査を行うべきか医師と相談して決めます。
    健康診断のように予防的に検査を受ける場合には、当日の検査前に診察を行うことが一般的です。
  2. 前日準備
    前日の食事は、おかゆやスープなどの消化に良いものを摂ります。食べ過ぎや、消化に良くない食べ物は避けましょう。受診施設によっては、専用の検査食が配られる場合もあります。夜遅くの食事や、飲酒は禁止されています。また、前日から服用する下剤が配られている場合は、忘れずに飲みましょう。
  3. 当日準備 – 下剤(腸管洗浄剤)
    受診施設へ来院し受付を済ませたら、検査の準備のために下剤(腸管洗浄剤)を飲みます。色の薄い水様便になるまで数回かけて排便を行います。これは非常に大切な準備で、検査前に大腸内をキレイに洗い流しておくことで、カメラで鮮明に観察ができるようになります。(下剤は自宅で飲用する施設もあります。)下剤を飲み終わったら、検査用のウェアと紙パンツに着替えます。検査室のベッドに移動したら、いよいよ検査開始です。
  4. 鎮静剤
    始めに腸の動きや検査中の痛みを和らげるため、鎮静剤を注射します。効き目には個人差がありますので、意識がボーッとするだけの方もいれば、ぐっすりと眠ってしまう方もいます。施設によっては腸の動きを抑えるための注射を合わせて行うこともあります。
  5. 検査開始
    鎮静剤が効いてきたら、内視鏡を肛門から挿入し腸内の観察を始めます。特に異常がなければ写真を撮影するだけですが、発赤やポリープなど病気の可能性が見つかったら、その場で組織を採取し精密検査へ出すこともあります。これは生検といって、受診者の事前同意を得たうえで行います。もしも切除可能なポリープが見つかった場合は、その場で切除します。大きなポリープの場合は、安全に切除ができる専門病院へ紹介されることもあります。検査時間は、腸の状態や生検の有無にもよりますが、15分から30分程度で終了します。
  6. 検査後
    鎮静剤の効き目がなくなった頃合いを見て、医師から検査結果の説明を受けます。生検を行った場合は検査結果が出るまでに1週間程かかりますので、結果の確認のために再来院する必要があります。身支度を整えたら帰宅することができます。当日中は鎮静剤の効き目が残っているため、車の運転など集中力を必要とする作業は避けましょう。食事は普通にとれますが、ポリープを切除した場合は、刺激物や消化に良くないものは避けるようにしましょう。

大腸カメラを受ける前に気をつけることは?

大腸カメラを受けられない方

次の方は医療機関・医師の判断により大腸カメラ検査を受けることができない可能性があります。
予約時または事前診察で確認しましょう。

  • 高血圧の方
  • 体重制限に該当する方
  • 妊娠中の方
  • 麻酔薬にアレルギーがある方

大腸カメラ検査前日の食事

検査前日は食事内容に気をつけましょう。消化に良いものを選び、消化に悪いものは避けましょう。
夕食後以降は、当日の検査が終わるまでは絶食となります。

飲食してよいもの

  • おかゆ、白米、素うどん、具なしのスープなど
    (受診施設から検査食が事前に配られる場合があります)
  • 水、お茶、スポーツドリンク

飲食を避けるべきもの

  • 肉、揚げ物など脂肪を多く含むもの
  • きのこ、豆類、海藻類など消化に良くないもの
  • コーヒー、ジュース、アルコール飲料

また、前日から飲む下剤が配られている場合は、忘れずに服用しましょう。

検査当日(検査前)の注意点

検査当日は、食事は厳禁です。飲み物は、水・お茶・スポーツドリンクであれば飲用可能です。喫煙は大腸内の血管を収縮させ検査に影響を及ぼしますので、避けましょう。

もっとも気をつけることは、下剤(腸管洗浄剤)の飲み方です。下剤は決められた量を決められた時間に沿って飲む必要がありますので、時間に余裕をもって準備を始めましょう。

下剤(腸管洗浄剤)

下剤は自宅で飲用する場合と、受診施設でスタッフの管理下のもと飲用する場合があります。大腸カメラを初めて受ける方や、自宅が受診施設から遠方の方は、なるべく受診施設で飲むようにしましょう。自宅で飲む場合は説明書をよく読み、適正量を正しい手順で飲みましょう。飲んでいて、万が一具合が悪くなった場合は、受診施設へ連絡して指示を仰ぎましょう。

人によっては下剤の味が苦手、という方もいると思いますが、腸内の洗浄の度合によって、その後の検査でしっかりと腸内が観察できるかに影響します。どうしても飲めない場合を除いて、指定された量の下剤をしっかりと飲みきりましょう。

なお、下剤はいくつかの種類があり、味や服用量が異なります。受診施設によって指定されていることもあれば、好きな下剤を選べる場合もあります。

代表的な下剤

  • モビプレップ
    現在主流の下剤で、梅ジュースのような風味です。服用量が1.5リットルと他に比べて少なめで、洗浄力も強いことが特徴です。
  • ニフレック
    薄い塩レモン風味です。服用量は2リットルと多めで、洗浄力は平均的です。ニフレックは体内にほとんど吸収されないため、高齢者や、腎機能が低下している方でも安心して服用できます。
  • マグコロールP
    味はスポーツドリンクに近く、最も飲みやすいと言われています。服用量は1.8リットルと多めで、洗浄力は平均的です。

大腸カメラ検査後の注意点

検査時の対応によって、検査後に気をつけるポイントが変わります。

鎮静剤を使用した場合

  • 当日は車などの運転や激しい運動はできません。
  • 当日は集中力を要する仕事(細かい作業、重要な会議など)は避けましょう。

ポリープを切除した場合

  • 1週間程度は以下のことを避けましょう。
    【食事】刺激物や消化に良くないもの、アルコールの摂取
    【行動】運動、遠方への旅行や出張
  • 下腹部の強い痛みや下血(血便)などの症状が出た際は、受診施設に連絡し指示を仰ぎましょう。受診施設と連絡がとれない場合は、「♯7119」(又は地域ごとに定められた電話番号)に電話することで、救急電話相談を受けることができます。

まとめ

大腸カメラ検査の概要と、気をつける点について説明しました。
大腸カメラは検査前の準備が必要ですが、がんなどの重大な病気を早期に発見するために非常に有効な検査です。これまで大腸カメラ検査を受けたことがない方も、これを期に受診を検討してみてはいかがでしょうか。