乳がん検診はマンモグラフィと乳腺エコーのどちらを受けるべき?

日本では、乳がんに罹患する女性が年々増え続けています。2019年の統計では、およそ9万7000人が新たに乳がんと診断されており、これは女性がかかる全てのがんのうち最多数となっています。他のがんとは異なり、30歳代とまだ若い年齢のうちから罹患率が高くなってくることも乳がんの特徴です。

代表的な乳がんの検査としては、マンモグラフィ(乳房X線検査)や乳腺エコー(乳腺超音波検査)があります。どちらも乳がん検診ではポピュラーな検査ですが、それぞれの違いがよく分からない、という方もいるのではないでしょうか。

本記事では、マンモグラフィと乳腺エコーの違いについて解説します。

マンモグラフィと乳腺エコーの特徴は?

マンモグラフィと乳腺エコーでは、次のような違いがあります。

マンモグラフィ 乳腺エコー
検査方法 乳房専用のX線検査です。機械の前に立ち、乳房を圧迫板で薄く引き伸ばした状態で撮影します。検診での所要時間は5~10分程度です。 ベッドに寝転び、乳房の表面に超音波を発生する器具(プローブ)を押し当て、反射された超音波を画像化します。検診での所用時間は10~15分程度です。
メリット
  • 視診や触診では見つけにくい小さな異常を発見しやすい
  • 乳腺エコーでは見つけにくい石灰化(カルシウムの沈着)を発見しやすい
  • 撮影角度が固定されているため、医師が過去の結果と見比べやすい
  • 定期的に検査を受けることで、乳がんの死亡率を減少させることが統計的に認められている
  • マンモグラフィでは見つけにくい小さな腫瘤・しこりを発見しやすい
  • 乳腺量による影響を受けずに検査を行える
  • 検査時の痛みがない
  • X線被ばくが無く、妊娠中や妊娠の可能性がある方でも検査を受けられる
デメリット
  • 検査時に乳房を引き延ばすことによる痛みを伴う
  • 年齢や個人差により乳腺量が多い場合に、異常を見つけにくいことがある
  • 微量のX線被ばくがあり、妊娠中や妊娠の可能性がある方は検査を受けられない
  • 検査を行う医師・技師の技量が検査結果に影響しやすい

マンモグラフィと乳腺エコーはどちらがオススメなの?

結論からいうと、二つの検査に明確な優劣はありません。それぞれの検査で発見しやすい異常が異なりますので、各特徴を踏まえて、どちらの検査を受けるか選択しましょう。

各検査の目安年齢

受診時間や予算にゆとりがあれば両方の検査を受けるのも手ですが、毎回両方の検査を受けられないことも多いかと思います。そのような場合には、自身の年齢によって検査を選択するのも一つです。一般的には、若年層(20代~30代)の方は乳腺エコーを、40代以上の年齢の方はマンモグラフィを受診することが多いです。これは年齢が若い人ほど乳腺が高濃度に発達しており、マンモグラフィで異常が発見しづらいためです。

検査の推奨頻度

他にも、厚生労働省の指針ではマンモグラフィは2年に1度の受診が勧められていますので、たとえばマンモグラフィと乳腺エコーを1年おきに受診したり、乳腺エコーは毎年受けてマンモグラフィのみ2年に1度受ける、といった方法もあります。

乳がんの遺伝性

最後に、乳がんは遺伝性の強いがんのため、ご家族に乳がんの罹患歴がある場合は、乳がんにかかるリスクも高まるとされています。早期に発見・治療を行えるよう、欠かさずに乳がん検診を受けることが大切です。

参考