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肝機能障害とは?早期発見・早期治療の重要性
健康診断の血液検査で肝機能の数値が基準値を超えている場合に指摘されることが多い、肝機能障害。その多くは、原因によっては治療により改善が見込まれます。
肝機能障害の初期症状は?見逃しがちなサインに注意
肝機能障害の初期段階では、多くの場合、明確な症状が現れません。これが早期発見を難しくしている要因の一つです。
一方で、病状が進行すると、以下のような症状がみられることがあります。
- 全身の倦怠感や疲れやすさ
- 食欲不振
- 吐き気や腹部の不快感
- 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
- 尿の色が濃くなる
- 皮膚のかゆみ
- 体重減少
これらの症状が現れた場合、肝臓の状態が進行している可能性も考えられます。そのため、自覚症状がある場合は速やかな受診を、健康診断で異常を指摘された際には症状の有無にかかわらず、消化器内科で詳しい検査を受けることが大切です。
肝機能障害の主な原因
肝機能障害は、生活習慣、感染、薬剤、体質など、背景となる原因によって引き起こされます。
以下では、肝機能障害の代表的な原因と、それによって起こる疾患について整理します。
飲酒:アルコール関連肝疾患
長期間にわたる過剰な飲酒により、肝臓に負担がかかり、障害が生じることがあります。アルコール摂取量や飲酒期間が長いほどリスクが高まるとされており、日常的に飲酒の習慣がある方は注意が必要です。
ウイルス感染:ウイルス性肝炎
肝臓がウイルスに感染し、炎症を起こす疾患です。主にB型肝炎ウイルス(HBV)やC型肝炎ウイルス(HCV)が原因となります。血液や体液を介して感染するため、過去の輸血や医療行為などが感染経路となる場合もあります。
肥満やインスリン抵抗性:代謝異常関連脂肪性肝疾患(MASLD)
アルコールを原因としない脂肪肝の一つで、生活習慣の影響を強く受けるとされています。肥満、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病と関連が深く、近年増加傾向にあります。
医薬品・サプリメント等の摂取:薬物性肝障害
医薬品やサプリメント、健康食品などの影響により、肝臓に障害が生じることがあります。市販薬や健康補助食品であっても、体質や摂取状況によっては影響を受ける場合があります。
免疫機能の異常:自己免疫性肝炎
免疫機能の異常により、自身の免疫が肝臓を攻撃してしまう疾患です。比較的中年以降の女性に多いとされています。
肝機能障害の検査方法
肝機能障害の評価には、主に血液検査や画像検査が用いられます。
血液検査(肝機能検査)
AST(GOT)・ALT(GPT)
肝細胞に含まれる酵素で、肝臓の状態を把握する指標の一つです。肝細胞に障害が生じると血液中に放出されるため、その値を測定します。
- AST(GOT)基準値:7~38 IU/L
- ALT(GPT)基準値:4~44 IU/L
γ-GTP(ガンマ-GTP)
胆道系に関連する酵素で、アルコール摂取や薬剤の影響を受けやすいとされています。
- 男性の基準値:50 IU/L以下
- 女性の基準値:30 IU/L以下
肝炎ウイルス検査
B型・C型肝炎ウイルスへの感染の有無を調べる検査です。
- HBs抗原検査:B型肝炎ウイルスに現在感染しているかがわかります
- HBs抗体検査:B型肝炎ウイルスに対する免疫の有無が確認できます
- HCV抗体検査:値が高いと現在の感染、値が低いと過去の感染が疑われます
腹部超音波(エコー)検査
肝臓の形態や脂肪の蓄積状況などを確認するために行われる、身体への負担が少ない検査です。肝臓の脂肪蓄積の状態、慢性肝炎と肝硬変の鑑別、肝がんの有無などを確認します。
肝機能検査で「要再検査」「要受診」と言われたら
健康診断で肝機能に関する検査値について指摘された場合、健診結果に記載されている判定区分に従って行動することが最も重要です。
肝機能の数値は、一定の基準に基づいて評価されており、判定区分ごとに推奨される対応が異なります。
「要再検査」と判定された場合の考え方
「要再検査」は、現時点で緊急性は高くないものの、異常が一過性かどうかを確認する必要がある状態を指します。
多くの場合、以下のような対応が勧められます。
- 一定期間(数週間以内)生活習慣を見直したうえで再検査を受ける
- 飲酒量、体重、服薬内容などを医師と共有する
- 再検査でも異常が続く場合は、医師の指示に従い精密検査や専門機関を受診する
「要再検査」と判定された場合、自己判断で放置せずに再検査を確実に受けることが重要です。
「要受診」「要精密検査」と判定された場合の行動
「要受診」や「要精密検査」と判定された場合は、医療機関の受診が必要な状態を意味します。
- 肝機能の数値が基準値を大きく超えている
- 複数項目で異常がみられる
- 肝炎ウイルス検査で異常がある
といったケースでは、早期に医療機関を受診し、原因を特定することが重要です。
この段階では、血液検査や画像検査などを含めた医師の評価を受けることが前提となります。
何科を受診すればいい?
肝臓を診察する診療科は消化器内科です。消化器内科のある医療機関を受診しましょう。
判定にかかわらず受診を検討すべきケース
健診結果の区分に加え、以下のような症状がある場合は、判定にかかわらず早期に消化器内科を受診しましょう。
- 黄疸、尿の色の変化
- 強い倦怠感や食欲不振が続く
- 急激な体重減少
肝機能障害は治る?治療法について
肝機能障害は、原因に応じた対応を行うことで改善が期待できる場合がある一方、継続的な治療や管理が必要となる場合もあります。
重要なのは、健康診断や検査結果の判定区分に従い、原因を正確に把握したうえで適切な対応を行うことです。
健康診断で「要再検査」「要受診」「要精密検査」などの判定を受けた場合は、その指示に従って消化器内科を受診し、医師の判断のもとで治療方針を決定することが基本となります。
アルコール関連肝疾患・MASLDの場合
アルコール関連肝疾患やMASLDでは、生活習慣の改善が治療の基本となります。
- 飲酒量の見直し、節酒・禁酒
- 体重管理、食生活の改善
- 適度な運動習慣の導入
これらを継続することで、比較的早期に肝機能の数値が改善することも少なくありません。ただし、進行して肝硬変に至っている場合は、長期的な管理が必要になります。
ウイルス性肝炎による肝機能障害
B型・C型肝炎が原因の場合は、医師の判断による専門的な治療が必要です。
- C型肝炎では、直接作用型抗ウイルス薬(DAA)により高い確率でウイルス排除が可能
- B型肝炎では、核酸アナログ製剤などによりウイルス増殖を抑制
適切な治療により肝機能の改善が期待できますが、治療後も定期的な検査と経過観察が重要です。
薬物性肝障害の場合
医薬品やサプリメントが原因と考えられる場合は、原因となる薬剤の中止や変更が検討されます。
原因が特定でき、早期に対応できれば、多くの場合で肝機能の改善が期待できます。ただし、自己判断で薬を中止せず、必ず医師に相談することが大切です。
自己免疫性肝炎などの場合
自己免疫性肝炎などでは、薬物療法による長期的な治療・管理が必要になることがあります。
症状や進行度に応じて治療内容が異なるため、専門医による継続的なフォローが重要です。
肝機能障害を治すには?日常生活で気をつけること
肝機能障害の予防や管理のためには、日常生活での心がけが大切です。
節酒・禁酒を心がける
アルコールは肝臓に大きな負担をかけます。週に2日以上の休肝日を設ける、1日の飲酒量を適量(日本酒なら1合、ビールなら中瓶1本程度)に抑えるなど、意識的に節酒しましょう。すでに肝機能に異常がある場合は、医師の指示に従って禁酒することも必要です。
肥満を解消する
肥満はMASLDの主要な原因です。標準体重に近づけるよう、バランスの良い食事と適度な運動を心がけましょう。急激なダイエットは逆に肝臓に負担をかけるため、月に1~2kg程度の緩やかな減量が理想的です。
余分な薬・食品添加物を避ける
必要以上の薬やサプリメントの摂取は、肝臓に負担をかける可能性があります。複数の医療機関を受診している場合は、お薬手帳などで服薬内容を管理し、主治医に相談しましょう。
バランスの良い食事を心がける
栄養バランスのとれた食事は肝臓の健康に不可欠です。特に、良質なタンパク質、ビタミン、ミネラルを意識的に摂取しましょう。また、食後は無理な運動を避け、体を休めることも大切です。
十分な休息と睡眠をとる
疲労は肝臓の負担となります。質の良い睡眠を7~8時間確保し、適度な休息を取りましょう。
禁煙する
喫煙は肝臓の炎症を悪化させ、肝硬変や肝がんのリスクを高めることが知られています。禁煙は肝臓だけでなく、全身の健康のためにも重要です。
まとめ:定期的な検査と早期対応が重要
肝機能障害は初期には自覚症状がほとんどなく、健康診断で初めて指摘されることも少なくありません。そのため、症状の有無だけで判断せず、健診結果に記載された判定区分に従って行動することが重要です。
健康診断で「要再検査」「要精密検査」「要受診」と判定された場合は、その指示に従い、医療機関で必要な検査や診察を受けましょう。肝機能障害は、原因に応じた対応を行うことで改善が期待できるケースも多く、早期に原因を把握することが、その後の治療や管理につながります。
また、「要再検査」と判定された場合でも、自己判断で放置せず、再検査を受けて経過を確認することが大切です。数値の変化を継続的に確認することで、適切なタイミングで治療につなげることができます。
健康診断で肝機能の異常を指摘された方は、結果をそのままにせず、まずは医療機関に相談することが、肝臓の健康を守る第一歩となります。